私はペンシルベニア大学というアメリカの大学で研究し、Nature Communicationsという論文誌で論文を書きました。タダなので読んでみて下さい [リンク]。
そんで、アメリカでお仕事をしていると何度か驚いた常識があります。とにかく変わろうとするんです。
どうしてなのか自分なりに考えてまとめたので、この記事で説明します。
私がアメリカにいる間、次のグラフに似たグラフを様々な場面で見ました。このグラフが共通認識としてアメリカ人(とアメリカで働く人)の記憶にあるのだと思います。おそらく学校で、もしくはドラマで、もしくは両親からの話で、私のようにセミナーなどで、様々な場面でこのグラフを見ているのだと思います。
これは横軸が時間、縦軸が売り上げのグラフです。時間が経つにつれ売り上げが落ちているのが分かります。a, b, cのタイミングで新たに投資をして売り上げを改善しようとしました。しかし投資した瞬間は売り上げが伸びますが、すぐに落ちてしまい、最終的には破産してしまいます。
一方で、異なる経営判断をした会社の売り上げが青のグラフです。青のグラフでは、aのタイミングで大きく経営方針を変更しました、すると売り上げは一気に落ちます。しかしその後の投資によって徐々に売り上げを伸ばしていき、いずれ経営方針を変更しなかった赤の会社を追い抜いてその後も成長を続けられます。
これに似たグラフを様々な場面で本当によく見ます。"改善" ではなく "変化" が必要だと考える常識が根付いているのです。悪い傾向が始まると変化の前にいくら改善しても無駄で、できるだけ早い変化の決断が必要だと考えるわけです。要は、落ち目だと思ったらすぐ諦めて、成長産業に乗りかえるべきだと考えているわけです。そして改善をするのは、大きく変化した後だと考えています。
変えようとする提案が、以下のように短くパッと言えるのも英語圏の人の人格形成を担っていると思います。人は言葉を使って考えるので、言葉を正すことはその人を正すことにつながりますし、言葉が変わればその人の人格も変わります。簡単に言えると簡単に言ってしまいますし、簡単に言えると本当に自分がそう考えていると思います。英語は、変化を歓迎する言葉が簡単に言えるので、変化を歓迎する人が多くいると見なせると思います。
英語だと変化を促すフレーズが、次のように短い言葉で簡単に言えます。
- His cycle ended.
(=「彼のサイクルは終わった」ようは彼はもうクビにして次の人を呼ぼうよという意味です)
- Never too early.
(=「遅すぎることはない」今、変わろうよ。決断するなら今だとさっと言えます)
- It's time to change.
(=「変わるときだ」今、変えるべきだとさっと言えます。it'sの発音がほとんど聞こえずtime to changeと言っているように聞こえます)
- Life won't wait.
(=「人生は待ってくれない」話し相手に大きな変化を促すときにさっと言えます。)
- Something needs to change.
(=「何かを変えなきゃ」ミーティングで間があるとなんかさっと言ってしまいます)
英語には、変わることに関する格言も非常に多いと思います。
- Change has its enemies. by Robert F. Kennedy
(=変化に敵はつきもの)
- Change. Yes, we can. by Barack Obama
(=変わろう. 私たちならできる)
- Things do not change; we change. by Henry David Thoreau
(=周りが変わるんじゃない。自分が変わるんだ)
アメリカ人とアメリカで働く人は、この記事で紹介したグラフをみんな共有していると思います。落ち目だと思ったらすぐ諦めて、成長産業に乗るべきだと考えます。そして改善をするのは、大きく変化した後だと考えていると思います。さらに変化を歓迎する言葉によってお互いが今のままではダメだと思うようになるわけです。
そう! あなたはいつだって変われる! Yes, we can!! こんな感じで背中を押されちゃうんですよw