プリプリント(日本語読みだとプレプリント)とは「特定のサーバーにアップロードされた誰でも読める査読前の原稿」のことです。
プリプリントの大義名分は「学術雑誌に掲載される原稿は、査読があるので投稿から掲載まで数ヶ月(ときには数年)かかる。成果を事前に見せることでフィードバックを受け、正式な投稿に向けた準備ができる」だそうです。
要は、査読なしで原稿をサーバにアップロードできるということです。そしてそれをタダで読めます。私は投稿前の原稿を不特定の人に絶対に見せないので、プリプリントは自分には関係ないなと思っていました。
最近は高いインパクトファクターの論文に出すと、あなたの原稿は勝手にプリプリントにまわされます!
( *実際は、プリプリント サーバにあなたの査読中の原稿をのせますがいいですか? というチェックボックスが論文投稿時にどこかにあって、そこでNoと宣言し忘れたんです)
私の最近の経験で言うと... Nature Communicationsに投稿すると次の日にNature Portfolioのプリプリント サーバに査読中の原稿をアップロードされ、Carbonに投稿すると次の日にSSRNのプリプリント サーバーにアップロードされました。(本当に、どこにチェックボックスがあったんだろう)
一度投稿されると消去できませんな。あなたのプリプリント、今週はXXXX人に読まれというスパムメールがたくさんきます。
何より、プリプリントに出したことで、原稿の新規性は消えないか心配になります。
→しかしこれは問題ありません。プリプリント サーバに投稿した原稿を学術論文誌に投稿しても2重投稿にならないそうです。
Nature Portfolioを先日改めて見てみました。しかし私のプリプリントに対するコメントはゼロ、tweetsもゼロです。Natureシリーズでこれなら、別のプリプリント サーバも本来の役割を果たしていないと思います。
「今後はオープンアクセスやプリプリントを研究者は無視できない」など、ご立派な方達がいろいろ真面目なことを言っている記事をここ2,3年たくさん見るようになりました。しかしどれも芯をくっていない議論のように見えます。本来の大義が全く機能していないのに、プリプリント サーバが爆発的に増えているのはナゼでしょう?
アメリカはお金にならないことは絶対にやらないです。ただどうやって儲けているのかも分からないんです。最前線で働くアイビーリーグの教授たちに聞いても、どうやってお金を儲けているか分からないというんです。
近いうちにお金を儲ける仕組みが研究者にもわかるようになるはずです。しかし2024年の段階でなぜプリプリントが流行っているのか、誰がどうやって儲けようとしているのか、一般の研究者は分からない状況にあります。気持ち悪いのですが、みんな分かっていないんです。
別にいいことはなさそうだから、自分でプリプリント サーバに発表前の原稿をアップロードすることはしないでしょうが、高インパクトファクターの論文に投稿すると同時にアップロードされます。
原稿を投稿するときに「プリプリントへの投稿を許可しない」のチェックボックスがどこかにあるはずなので、必ずチャックを入れてください。
ただ原稿の新規性が失われないそうので、査読の結果に影響は与えないため、悪い影響はなさそうです。
どうでしょう、プレプリント、よくわからないのですが、それでも知っておくべきことが分かったでしょうか? これからもファーストクラスの論文をどんどん書いていきましょう。このサイトでは、常に上を目指す研究者を一生懸命に応援していきます。
・Nature Communicationsに採択された原稿に、解説を付けたテンプレートを作りました。Webサイトの解説した内容が実際にどう論文に反映されたか実例を見ながら理解できます。研究者として上を目指したい方、ぜひ参考に。
論文の解説付きテンプレート、なぜ重要なのか?
・論文の書き方は教わりましたか? このWebサイトに書いてある高インパクト論文の書き方をスライドにして1つにまとめました。論文の "型" を自習する教材として最適です。ぜひ参考に。
高インパクト論文の書き方をどう自習するか? [結論:この解説付きスライドを読もう]