Nature, Scienceといったトップジャーナルに論文を掲載させるには、どのくらいの時間が必要か知りたいですか?私と私の周りの人たちが、どの位かかったか紹介しました。
また、賞味期限のように、どれくらいの時間までには出さなくてはいけないのかといった、研究者が持つ不安についてもお話しました。
これからNature系やScience系の論文にチャレンジする方、必読の内容です。
ちなみに、解説付きの論文のテンプレートに興味ありますか? Nature Communicationsに採択された原稿に解説をつけたので、気になる方は[この記事]で検討してもらいたいです
いきなりですが、今回紹介するのはあくまで私の体験と、私の周りでNatureシリーズやScience本誌を書いた人の体験の話です。
分野によって実験結果の出やすさは違いますし、研究に必要な予算も分野によってずいぶん違います。だからあくまでも目安です。
しかも、研究はお金をかければ必ず成功するわけではありません。だからあくまでも目安なわけです。
私の体験:私は研究の構想を自分で考えて、そのための実験系や解析手法を自分で構築しました。ほぼゼロから始めたわけです。こんな私は、Nature Communicationsに採択されるまで12年かかりました。さらに2本目のトップジャーナルがそろそろ出そうだと予想しているのですが、これが1本目のNatureシリーズから6~8年になりそうです。つまり、1本目は12年で、2本目は6~8年になりそうというのが私の体験です。
私の知り合いたち:友人や知り合いの先生の話をまとめると、1本目は10年、2本目以降は5年間隔だそうです。私よりハイペースですね。経験則なんですけど、これくらいの感覚です。
実験結果が出てから、何年以内に投稿しないといけないか知りたいと思っていますか?
ただ安心してほしいのは、研究結果において基本的には賞味期限なんて存在しないということです。過去の結果と自分の結果を比較して、「差」があればその結果に新規性・独創性があると言えます。そしてその新規性・独創性に今までの理論や実験から予想できない「驚き」があればいつだってトップジャーナルに掲載できます。
一方でキワモノ枠を狙うなら、本当に急がないといけません。キワモノ枠とは「見えた」「動いた」「光った」みたいな、過去の結果と比較するといった考察がほとんどない発見をした論文のことです。こうゆうシンプルな実験に数十億円の装置を使ったりした原始的な発見のことを、私はキワモノ枠と名づけています。Nature系, Science系の雑誌を読むと、雑誌はこうゆうキワモノ枠を必ず少しは用意しているように見えます。もしこのキワモノ枠を狙うなら時間は命です。何年ならダメという具体的な数字はありませんが、パッと図を見て似たような論文が出た瞬間に全く価値がなくなってしまいます。
NatureやScienceは、「くしゃみにでウイルスはどれだけ飛ぶか」「材料の硬さは何によって決まるか」「溶けかけの氷はどうして滑るのか」「カミソリで髭を剃るとどうして遥かに硬い鉄がなぜ摩耗するのか」といった議論がメインの論文が大半です。議論を主軸に置いた論文なら賞味期限はないです。
もし以上のトピックスに賞味期限があるのなら、その賞味期限は300年くらい前に切れているのではないでしょうか?以上のトピックスでトップジャーナルに掲載できています。
私は採択まで12年かかったと言いましたが、驚くべきことにそのうちの3年くらいが査読でした。
典型的な論文誌は投稿から採択まで大体3ヶ月くらいではないでしょうか。これは分野によってずいぶん違っていて、数学などは少なくても6ヶ月かかり1年かかるのもざらのようです。
Natureシリーズは早くても6ヶ月だと思ってください。これがNatureが提示する平均的な時間です。トップジャーナルはとにかく査読に時間がかかります。
私は、まずNature本誌に論文を投稿しました。そして査読者と2年間議論で戦いました。私はこの間に合計160ページの反論書(レブッタルレター)を書きました。しかし2年戦った後にRejectされてしまいました。その後に原稿を修正してNature Communicationsに投稿し、投稿から6ヶ月後に採択されました。なので、3年弱は査読に使ったわけです。
査読だけに3年、長いですよね。でもこれくらい覚悟しておくべきだと思います。
私は2年間も査読者と議論した後にRejectされました。今思うと投稿したタイミングにおいて、私の研究結果は新しすぎたのです。
私の研究結果と、過去に発表されてきた他の研究者達の結果とを比較すると、何もかもが違いました。試料の大きさや、物理量の大きさなど、全てが大きく違いました。よく言えば、極めて独創的な研究結果だったわけです。しかしあまりにも独創的すぎて、(1)過去の結果に対して新しい解釈を与えられなかったのと、(2)別の分野の結果とを結びつけられなかったため、読者に「驚き」を伝えるストーリを作れませんでした。
それだけでなく、本当に精度の良い実験ができているのかという、査読者の疑念も取り除ききれなかったとようでした。
しかし査読者と2年戦った後にリジェクトされ、今度はNature Communicationsに投稿しようとし、改めて最新の研究を確認しました。すると、私の結果と直接比較できる論文がこの2年でいくつか掲載されていることに気がつきました。それによって、ストーリーを作り出すことができるようになり、Nature Communicationsに採択されたわけです。
このように、1歩先をいく研究だとただ単に独創的なだけで、読者に「驚き」を伝えるストーリを作れないので採択されません。他の研究より半歩前に出るくらいがちょうどいいと思っています。
研究成果の投稿は早ければ早いほど良いのではなく、他の研究結果を踏まえたタイミングが重要だと思います。
Nature, Scienceといったトップジャーナルに論文を掲載させるに、私と私の周りの人たちが、どの位かかったか紹介しました。
私の体験では、1本目は12年で、2本目は6~8年になりそうです。
友人や知り合いの先生の話をまとめると、1本目は10年、2本目以降は5年間隔だそうです。以上が経験則です。
研究結果は何年以内に出さなくてはいけないという、賞味期限のようなものはありません。今までの理論や実験から予想できない「驚き」があればいつだってトップジャーナルに掲載できます。
私は採択まで12年かかったと言いましたが、驚くべきことにそのうちの3年くらいが査読でした。これくらい覚悟しておくべきです。
また、研究成果の投稿は早ければ早いほど良いのではなく、他の研究結果を踏まえたタイミングが重要です。
どうでしょうか、参考になったでしょうか? Nature系論文, Science系論文、書いていきましょう。このサイトでは、上を目指す研究者を一生懸命に応援しています。
・この記事で紹介した、科学的な「驚き」についてもう少し知りたいですか、私は "インパクト" と呼んでいてトップジャーナルを書くうえで極めて重要な要素です。
Nature論文を書くために必須,「インパクト」の作り方!
・Nature Communicationsに採択された原稿に、解説を付けたテンプレートを作りました。Webサイトの解説した内容が実際にどう論文に反映されたか実例を見ながら理解できます。研究者として上を目指したい方、ぜひ参考に。
論文の解説付きテンプレート、なぜ重要なのか?
・論文の書き方は教わりましたか? このWebサイトに書いてある高インパクト論文の書き方をスライドにして1つにまとめました。論文の "型" を自習する教材として最適です。ぜひ参考に。
高インパクト論文の書き方をどう自習するか? [結論:この解説付きスライドを読もう]