Research statementは、CVやRecommendation Letterと合わせてよく投稿する重要な書類です。
ただ、この記事では、競争的なポストでアピールをするための技術は記載してありません。ただ私は競争に勝ち続けた経験があるわけではないので、あまり信じすぎないでください。あくまでも典型的なResearch statementを紹介しただけなので注意してもらいたいです。
テンプレートも(無料で)ダウンロードできるので参考にして下さい
Research statementとは、学者としての研究の軌跡を記述する、通常1,2ページの文章です。図は含みません。「研究を始めた時点から、今後数年でどのような方向に進もうとしているのか説明する事で、審査委員に候補者の可能性を評価してもらうための書類」です。
研究重視の大学では、研究の生産性、他の研究者との研究内容の関係性、将来性が重視されます。研究に重点を置いている大学に投稿するResearch statementは、論文の成果を強調すべきです。
また教育と研究を同等に評価する大学なら、その研究がどのように教育を補っているか、またその逆はどうか、という内容で締めくくるようにしましょう。
(a)キャリア序盤か、(b)ある程度キャリアを積んだかで構造は異なり、一般的な構成はそれぞれ以下のようになります。
次の順に書くといいと思います。
(1)Introduction: 最初の段落では、具体的に何の研究に取り組んだか紹介しましょう。そしてこの研究は、将来はどのような研究になるのか、具体的に長くなりすぎないように書きましょう。
(2)Summary Of Dissertation: 次の段落では、博士課程で取り組んだ研究内容を要約して下さい。ここで、アブストラクトやカバーレターなど、書類間で言葉が重複しすぎないように注意しましょう。
(3)Contribution To Field And Publications: 取り組んできた研究が、その学術分野にとってどのような意義があるのか説明しましょう。博士課程またはポスドク課程での研究での出版物について詳しく述べましょう。もしあるなら、将来の出版計画も含めてもいいです。その場合は、投稿先ジャーナルや、学位論文から作成した書籍に興味を持つ可能性のある大学出版社について長くなりすぎないように具体的に述べましょう。
(3.5)Research statement (optional): もし2ページのResearch statementを提出したなら、段落を新たに追加し、この段落で将来の出版計画をより詳しく説明するといいです。
(4)Second Project: Research statementとカバーレターを提出する場合、このスペースを使って、次のプロジェクトについてより詳しく説明し、このプロジェクトでの出版計画について述べましょう。学者としてのまとまりを感じさせるだけでなく、今までのPIの研究内容を超えて独立した研究者として革新的な研究構想を見せるように意識しましょう。
(5)Wider Impact Of Research Agenda: 研究の広範な意義について述べてください。つまり、自分の研究が他の研究分野にどのような影響を与えられるか、それによって何をどう盛り上げていきたいか宣伝して下さい。教育重視の教育機関を志望している場合、その研究をどのように教育に結びつくか説明して、文章を終えましょう。
以上の5,6段落を2ページ以内に簡潔にまとめてあるととても良いです。
次のリンクからテンプレートをダウンロードできます。
Download the Template
(1) Prevoius Research: キャリア初期の研究成果をざっと紹介します。それを踏まえてなぜ現在取り組んでいる研究の着想を得るに至ったのか記述します。この経験を説明することで、研究への関心や、自分の背景や取り組み方を紹介します。
(2) Current Projects: 過去の研究を踏まえて、何を成し遂げた人なのか、何の権威なのかを最初に言いましょう。また、最新の研究成果や、自分を代表する研究成果をここで紹介しましょう。
もし自分の研究成果をアピールする場合、単にインパクトファクタを記載するだけでなく、自分の論文がどのように参照されたのか紹介することで、コミュニティーにどのような影響を与えたのか紹介するべきです。単に論文数、単にインパクトファクター、単にcitationの数をアピールしてもあまり読者には響かないので注意して下さい。
現在開発中の出版物についても少しなら言及することができます。
(3) Future Work: 冒頭で将来何をするのか率直に書くと良いです。My originality is..., My mission is..., My vision is..., My target is...の順に書くと簡潔になるのでオススメです。
現在の研究が、将来の研究にどのように役立つかを述べます。次の主要なプロジェクトと、それを達成するための現実的な計画を述べましょう。
最後の部分は、自分の研究内容や研究成果が研究機関のゴールに適合していることを示して終わります。
ページ数の比率は、(Prevoius Research) : (Current Projects) : (Future Work)=1:1:2が一般的です。
自分の論文を参照する場合は、Research statement内にpubliationリストを書くのではなくで、CVに書いてあるpublicationリストから参照しましょう。
Research statementを書くための重要なコツは、今の成果をアピールするのではなく、過去の研究からどうして現在の研究に至ったか、それを踏まえて将来どのような研究に取り組むか書くことで、自分の将来性が有望であることをアピールすることです。
基本的な構造を紹介したので、これに沿って書くと一般的なResearch statementが書けます。
(a)キャリアの序盤か、(b)少しでもキャリアを積んだ人なのかで、内容が結構変わります。
テンプレートを無料で配布しているので必ず参考にしてもらいたいです
このサイトでは、常に上を目指す研究者を一生懸命に応援していきます。
・CVは書きますか? もし書くなら[この記事]を参考にしてもらいたいです。
・Recommendation letterは書きますか? もし書くなら[この記事]を参考にしてもらいたいです。
・Nature Communicationsに採択された原稿に、解説を付けたテンプレートを作りました。Webサイトの解説した内容が実際にどう論文に反映されたか実例を見ながら理解できます。研究者として上を目指したい方、ぜひ参考に。
論文の解説付きテンプレート、なぜ重要なのか?
・論文の書き方は教わりましたか? このWebサイトに書いてある高インパクト論文の書き方をスライドにして1つにまとめました。論文の "型" を自習する教材として最適です。ぜひ参考に。
高インパクト論文の書き方をどう自習するか? [結論:この解説付きスライドを読もう]