論文を投稿したときの最初の関門である、エディターキックについて知りたいですか?
エディターキックとは何か? 何日くらい経てばエディターキックされないと思っていいか? 高インパクトの論文誌ではどうしてほとんどの原稿がエディターキックされるのか、紹介しました。
(1)初めて論文を出す人、(2)高インパクトの論文誌に投稿する人、必読です。
NatureやScienceといったトップジャーナルでは、ほとんどの原稿が研究者のレビューに行くことなくエディターによってリジェクトされます。
これをエディターリジェク(editor reject))とか、エディターキック(editor kick)と呼ばれています。
論文を論文誌に投稿し、エディター(編集者)が査読するかを判断します。論文が出版されるまでの査読は非常に長く、メジャーリビジョンやマイナーリビジョンなど様々な過程をふみます。エディターリジェクトとは、この長い査読過程に入ることなく、最初の段階で終了するわけです。
少し強い言い方をすると「門前払い」なわけです。しかも一度リジェクトされると、2度とその原稿をその論文誌に投稿できません。
私は、投稿から10日間エディターからリジェクトの通知が来なかったら、エディターのチェックを通過して、レビューワのレビューに行ったと思っています。
具体的なエディタ-キックまでの日数を知りたい場合、論文誌のwebサイトを確認しましょう。
論文誌の名前と「submission to first decision」や「submission to first editorial decision」と検索してみて下さい。エディタリジェクトまでの日数が記載されているかもしれません。
ちょっといくつかの論文誌のエディターキックまでの期間を、Googleで調べてみました
Nature: 6 days
Science: 8 days
Nature Materials 7
days
Nature Communications: 8 days
Science Advances: 7 days
Physical Review Letters: 記載なし
ACS Nano: 記載なし
Nano Letters: 記載なし
Nanotechnology (IF:4.0): 6 days
見て分かる通り、記載されている日数はどれも10日以内です。
また、私が採択されたNature Communicationsの具体例を見ると、投稿から8日でレビューワに接触し始めました。
エディターキックされる確率はどこにも記載されていません。このため確率を知るすべはありません。
ただ私の友人を見て、そこから経験的に言えることは、Nature, Scienceといったトップジャーナルだと、80%近くの原稿がエディターリジェクトされます。全ての研究者の80%ではありません。私は世界一の成果が出たと自信を持って投稿した、力自慢の研究者が投稿した原稿の80%が一瞬でリジェクトされるのです。
この障壁は非常に高く、ほぼ全ての研究者がこの障壁を超えることなく、その研究者人生を終えます。
理不尽な確率ではありますが、納得できる部分もあります。例えば、NatureやLancetといった1流の論文誌のエディタは、朝に出社して自分の担当する分野のメールボックスを開いて見てみると、多い日は400の原稿が届いているそうです。平均すると毎日300くらいの原稿が届いていてこれをどうにかしないといけないのです。いちいち細かいところまで見てられないですよね。
このためトップジャーナルに挑戦するには、自分の論文の価値をエディターに主張できる "カバーレターが" 極めて重要です。カバーレターの書き方を勉強したい方、ぜひこの記事を見て下さい。
論文のカバーレターの書き方: Nature, Science, Cellへの道
論文誌のエディターは、レビューワのレビューに行く前にリジェクトすることがあります。これをエディターリジェクトとか、エディターキックなどと呼ばれています。
10日間リジェクトの通知が来なかったら、エディターのチェックを通過したと思っていいです。
高インパクトファクターの論文誌において、ほとんどの原稿がエディターによってリジェクトされるので、論文の価値を主張するカバーレターをちゃんと書きましょう。
私は論文が出ていない研究者を見ると、それが他人事とは思えなくて、何とか助けになりたいと思って、このwebサイトを作りました。
1,2週間だけ勉強すれば、絶対に誰でも高インパクト論文を書き方を理解できます。才能がないのではありません、断言しますが単に教わっていないだけです。自分の才能を疑わないでほしいです。
ここまで論文の書き方や、科学の進歩とは何かを言語化できている人はいないと自負しています。ぜひ他の記事も参考にしてもらいたいです。
がんばればいつかは報われるとか、そんな無責任なことは言えないけど、それでも私はあなたのような一生懸命な研究者を助けになりたくて頑張っています。一緒に頑張りましょう
・幸運にもエディターキックを通過したら、次の関門はメジャーリビジョンです。トップジャーナルだと、エディターキックと同様にほとんどの原稿がこのタイミングでリジェクトされます。トップジャーナルではない場合は、ここが最もリジェクトされる確率が高い査読過程です。メジャーリビジョンについて気になるなら、この記事を見て下さい。
査読での2つ目の関門、メジャーリビジョンとは何か
・Nature系などのトップジャーナルの書き方を記事にまとめました。研究者として世界的に活躍したい方、この記事を見て下さい。多くの記事の要点をいっきに見れます。
論文の書き方: Nature, Science, Cellへの道
・Nature Communicationsに採択された原稿に、解説を付けたテンプレートを作りました。Webサイトの解説した内容が実際にどう論文に反映されたか実例を見ながら理解できます。研究者として上を目指したい方、ぜひ参考に。
論文の解説付きテンプレート、なぜ重要なのか?
・論文の書き方は教わりましたか? このWebサイトに書いてある高インパクト論文の書き方をスライドにして1つにまとめました。論文の "型" を自習する教材として最適です。ぜひ参考に。
高インパクト論文の書き方をどう自習するか? [結論:この解説付きスライドを読もう]