自分の論文を採択させたいですか?
典型的なリジェクトの理由で、かつエディターやレビューワが報告してくれないリジェクトの理由を紹介しました。
記事の最後には、解決策を提案してあるので、最後まで見てもらいたいです。
エディタやレビューワは、実験結果の解釈に不備があるなど、科学的な根拠に関連した理由であなたの原稿をリジェクトします。このためグラフがダサいとか、何が言いたいのか分からないといった、科学っぽくないリジェクト理由を著者に伝えることはありません。
にも関わらず、図やグラフは論文の成果を一発で表す非常に重要な部分です。つまり、レビューワーやエディタは言ってくれないリジェクトの理由があるのです。私はこれを "隠れリジェクト要因" と呼んでいます。
この記事では、有名教授や有名エディターから見聞きした典型的な隠れリジェクト要因を10個紹介します。もしかしたら知らずにやってる悪癖、この記事を読んで直しましょう。
NatureやScienceといった高インパクトの論文は、こうゆう小さな完成度の積み重ねが大切です。
「問題があってそれを解決した結果を報告した」のが論文です。
このため、論文で何が問題なのか説明がないと、何が解決されたのか、そしてその結果どんな新しいことが分かったのか分かりません。要は論文の言いたいことが本当に分からないんです。
問題, 解決した内容, 今後の予想の3つはセットで必ず書いて下さい。何が言いたいのか分からないとゆう理由のリジェクト通知はきません。しかし論文誌によりますが、このセットがないとたぶんリジェクトです。結局、何が言いたいのか分からないのです。
(a)図の詳細を見ようと図を拡大してみたら、解像度が足りなくて詳細が見えなかったり、
(b)似た色を使ったせいで、図の形状が判別できなかったり、
(c)図とテキストがかぶったせいで、文字が読めなかったり、
(d)小さすぎたりして見えなかったり、
(e)空白が多すぎて単位面積あたりの図の情報量が少ない
のがこれに相当します。図の完成度が低いと、本文の質も低く感じてリジェクトしたくなります。
拡大してみたら解像度が足りなくて見えづらいという、図と同じリジェクト要因があります。
グラフの場合はそれだけでなく、自分の実験結果を表示しただけで、過去に出された結果とグラフ内で比較していないとリジェクト要因になります。
過去の結果を踏まえて今回の結果は何が違うのか考察していないのかなと思ってしまうからです。つまり、論文のインパクトについて全く考えてないからです。
(*ちなみにグラフだけでなく、本文でも過去の結果との違いを考察していないなら、リジェクトです)
これは日本人はあまり関係ない隠れリジェクト要因ですが、レビュワーとほぼ口論のような状態になってしまうパターンです。
レビュワーからの指摘に対して、howeverやbutといった言葉でレビュワーの意見を否定してしまうとこの状態になりがちです。
例え正論でレビューワをねじ伏せても、レビューワからアクセプトをもらえるわけではないのを理解して下さい。レビュワーの意見に同意しつつ自分の意見を言うこちで、双方の意見も正しいとなりながら、原稿を修正するのが正しい手順です。
はっきりと自分の意見を言う文化圏の人が共著者に入っていると起こりがちです。
例えば、あなたが就職活動をして採用担当の教授から不採用にされたとします。で今度は、その教授の原稿を、あなたが査読したら、あなたはどうしますか?
他にも、自分の論文がリジェクトされ、今度はその教授の原稿をあなたが査読をしたら、あなたはどうしますか?
個人的な恨みや因縁がある場合は努力のしようがありません、まぁリジェクトされるでしょう。
アブストは他の部分と違って、何をどの順で書くのかかなり正確に決まっています。
アブストにはどんなに美しい文書が書いてあっても、ルールに従っていないとかなりの悪印象です。
結論とは
「(1)得られた結果を箇条書きなどで簡潔にまとめた後に、もう少し一般的な視点から、これらの結果が示す意味や有効性を具体的に論じる(=結果に基づいて何が言えるかを示す)。
(2)序論で決めた目的に対して、どのようにしてどこまで達成できたかも吟味する(=その流れで何が今後の課題かも話す)。
(3)何が自然な延長として期待できるか、将来の展望について長くなりすぎないように注意しながら説明する。」です。
イントロや結果をまとめてもう一度同じ内容を書いて結論にしてはダメです。
論文のタイトルがyoutubeの吊りタイトルのようだったり、どんな実験をしたのか書いてあるタイトルはリジェクトです。
論文のタイトルは、どんな実験をしたかを書くのではなく、「何が分かったか」を書くんです。そしてNature論文などに採択されたいなら、その新しい発見に "驚き" が含まれている必要があります。
何をしたのか?何に注目したのかを書くのではありません、何を発見したのか?をタイトルに書くのです。
先月、論文誌が投稿した論文の内容の特集記事を組んだばかりだった場合はリジェクトされる可能性が高いです。
先月に似たような論文が大量に出版した後なので、論文誌としてはしばらくは同じ内容の論文を掲載したくない背景があるからです。
これは本当に不運です。先月出していれば、間違いなく追い風だったでしょう。投稿タイミングによってリジェクトされる場合があるのです。
主語が長い, 文章の先頭に副詞がいつもある、といった外国人がやってしまう典型的なnon nativeな表現が多い場合は少し印象が悪いです。
DeepL (基本無料)や、Grammarly (基本無料)や、Nature Publishing Groupに英文校正サービス(3-10万円くらい)を使いましょう。それだけで致命的な英語にならないと思いますよ。
多くのnon native English speakerの研究者が、英語の力が足りないから論文が採択されないと主張しています。しかし、英語の言い回しがダメなだけでリジェクトされないと思います。英語も改善は必要ですが、何よりまず論文の内容に目を向けるように意識しましょう。English skill is not important at all. English skill is very important to say something important.
どうでしたか? 以上の10個が "隠れリジェクト要因" です。身に覚えはありますか? これら隠れリジェクト要因はエディターやレビューワは教えてくれないので、意識しながら改善していきましょう!
ではどうやったら書けるようになるのか? 書き方を勉強したいなら過去の記事を参考にしてもらいたいです。以下にリンクを貼っておきました。
1.問題が不明: 意識すればいいことは明確なので、改善は簡単です。[私が論文をリジェクトする1番の理由 (結論:1番言いたい事が不明)]
2.図がダサい: これはinkscapeを使ってベクトルデータとして保存するだけで結構変わります。[高インパクト論文のFigureの書き方]
3.グラフがダサい: これはmatlabを使ってベクトルデータとして保存するだけで結構変わります。[論文のグラフの書き方, Matlabを使おう]
4.返答がムカつく: レビューワに攻撃しないように反論する方法など、テンプレが無数にあるので、テンプレを使えば比較的に簡単です。[論文のリバッタルレターの書き方: Nature, Science, Cellへの道]
5.嫌いな人が著者にいる: カバーレターの段階で、レビューワのリストから排除してもらいましょう。[論文のカバーレターの書き方: Nature, Science, Cellへの道]
6.アブストが変:アブストのルールは過去の記事で詳細に説明しました。[Nature式のアブストラクトの書き方: Nature, Science, Cellへの道]
7.結論ではない:結論は何をどの順に書くのか結構決まっていてテンプレがあります。過去の記事で紹介しました。[論文の結論の書き方: Nature, Science, Cellへの道]
8.タイトルがダサい:[論文のタイトルの書き方: Nature, Science, Cellへの道]
10.英語がおかしい:
10-1 DeepLのサイト[DeepL Translator Tool]
10-2 Grammarlyのサイト[Grammarly.com]
10-3 Nature Publishing Groupの注文サイト[Nature Publishing GroupのLaunguage editing service]
ファーストクラスの論文をどんどん書いていきましょう。このサイトでは、上を目指す研究者を一生懸命に応援します。
・Nature Communicationsに採択された原稿に、解説を付けたテンプレートを作りました。Webサイトの解説した内容が実際にどう論文に反映されたか実例を見ながら理解できます。研究者として上を目指したい方、ぜひ参考に。
論文の解説付きテンプレート、なぜ重要なのか?
・論文の書き方は教わりましたか? このWebサイトに書いてある高インパクト論文の書き方をスライドにして1つにまとめました。論文の "型" を自習する教材として最適です。ぜひ参考に。
高インパクト論文の書き方をどう自習するか? [結論:この解説付きスライドを読もう]